【5月19日 AFP】中国当局が、農家に珍しい動物の繁殖をやめてもらおうと現金の支給を試みている。新型コロナウイルス流行の原因だとして非難されている違法な野生動物の取引について、取り締まりを求める圧力が高まっていた。

 動物愛護活動家らによると、当局は野生動物の取引を阻止する試みとして、繁殖を手掛ける農家から動物を買い上げる姿勢を初めて示した。

 中国はここ数か月、人に病気がうつる危険性を踏まえて、食用を目的とした野生動物の販売を禁止しているが、研究や伝統薬の製造といった別の目的での取引は合法のままとしている。

 中部湖北(Hubei)省武漢(Wuhan)で最初に報告された新型コロナウイルスは、コウモリから人へと伝染し、その後世界中に拡散したとの見方が広まっている。

 同国中部に位置する2つの省は、繁殖農家が別の生計手段へ移行するのを支援する買い上げプログラムの詳細を明らかにした。

 湖南(Hunan)省は15日、繁殖農家が別の家畜の飼育、もしくは茶や植物薬の生産に切り替えるのを促すために補償制度を開始。

 当局は、コブラなどのヘビは1キロ当たり120元(約1800円)で、タケネズミは1キロ当たり75元(約1100円)で買い上げるとしている。

 20年ほど前の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行時、ウイルスの宿主になったとみられるジャコウネコは、1匹600元(約9000円)という。

 湖南省に隣接する江西(Jiangxi)省も、農家による動物の処分を支援し経済的に援助する計画に関する文書を公表している。

 国営紙「江西日報(Jiangxi Daily)」は先週、同省には認可を得た繁殖業者が2300超も存在し、多くの場合食用として動物を飼育していると報じた。報道によると、繁殖農家が飼育する動物は約16億元(約240億円)相当に上るという。(c)AFP