■子どもは隠れた媒介者なのか?

 これについては、はっきりしない部分が多い。

 研究者らは当初、子どもにより拡大ペースが加速するインフルエンザなどと同じく、新型コロナウイルスも子どもによって感染が拡大する可能性があるとみていた。

 だが、最近の研究結果では、子どもが新型ウイルスを伝染させる可能性が低いことが示されている。

 フランスでは、新型ウイルスに感染し、軽度の症状があった9歳児が172人と接触したが、きょうだい2人を含め感染した人は一人もいなかった一方で、インフルエンザなどの冬季に流行するウイルスはこの児童から周囲へ伝染していた。

 しかし、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相の顧問を務めるクリスチャン・ドロステン(Christian Drosten)氏が主導した研究では先月、子どもも大人と同程度のウイルス量を持ち、「感染力は同等の可能性がある」ことが示された。

 ムンロー氏を含む他の科学者らはこの研究の方法と結論に異議を唱え、データの再分析により年齢とウイルス量は相関するという全く反対の結論が導かれる可能性があると指摘した。

 ただ、研究結果が正しかったとしても、ウイルス量が多い人は感染力も強いという確証はない。

■謎の疾患

 最近になり、まれな疾患である川崎病に似た炎症性疾患を発症する子どもが各地で確認され、懸念を生んでいる。

 症状には高熱、腹痛、発疹、リンパ節の腫れが含まれる。放置すると心不全につながる恐れがあるが、治療を受ければ回復する場合が多い。

 米ニューヨーク州、フランス、英国、イタリア、スペインで数十人の発症が確認された。新型コロナウイルスが原因であるかどうかは正式には確認されていないが、科学者らはその可能性があるとみている。