【5月6日 東方新報】中国では、地方政府の首長自らによる地元名産の「オンライン通販ライブ」が徐々にブームになっている。4月17日の夜も、吉林省(Jilin)梅河口市(Meihekou)の崔彦磊(Cui Yanlei)市長がオンライン通販プラットフォーム・拼多多(Pinduoduo)でライブ配信を行い、市長自らが梅河口特産品の米を食べてセールストークを行った。 

 梅河口市は吉林省東南部、松遼平原と長白山区の間に位置し、経済発展が遅れた貧困地域ではあるが、米やナッツ、キノコなどの農産品が豊富だ。特に松の実は国際市場でも販売されている。 

 市長自らがネットユーザーに向かって、梅河米や東北冷麺、タンポポの根や山城シイタケといったご当地ブランド食品を紹介し、貧困支援基金設立計画も宣伝。「私の手の中にある梅河米は、北緯42度で育ったんですよ」と特色を説明しながら、おにぎりやすしをつくってみせた。画面には「おいしそう」といったコメントが流れ、「地域の経済発展を支持します。梅河大米買います」といったメッセージも。視聴者抽選会も行い、3人に130キロあまりの米をプレゼントした。 

 18日未明までのライブで、累計視聴者は128万人。ライブ中に売れた米は44トンに上り、ほかにも冷麺、松の実など1万個が販売された。17日だけで、拼多多の梅河口農産品ショップの売り上げは100万元(約1500万円)を超えたという。 

 こうした地方政府の首長による「ライブ配信」は、2月10日から拼多多が全国に率先し、「市県長がキャスターになって、地域の農産物を売る」という新しいEコマースを使った農業支援モデルとなっている。2月19日には、広東省(Guangdong)徐聞県(Xuwen)の呉康秀(Wu Kangxiu)県長が「味見キャスター」を演じ、地元特産パイナップルのおいしい食べ方を紹介。パイナップルを使った酢豚やチャーハンなどのレシピ、調理実演を披露した。この日だけで徐聞パイナップルは約13万キロを販売した。

 吉林省梅河口市は、東北地域で最初にこの「首長ライブ配信」企画に参加。その成功ぶりは群を抜いており、他の地方も追随するとみられている。新型コロナウイルスの感染拡大による都市封鎖の影響で阻害が出ていた地方と都市の農産物流の回復を推進する効果も期待されている。 

 共産党員であり地方政府の首長である市長、県長が自ら「通販番組」のキャスターを担当するアイデアは、庶民のこれまでの共産党官僚の偉そうなイメージを払拭(ふっしょく)し、庶民目線におりて「人民に奉仕する」様子が、好評を博したカギのようだ。(c)東方新報/AFPBB News