■落とし穴

 血清検査は、完璧な解決策というわけではない。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)のマイケル・スキナー(Michael Skinner)准教授(ウイルス学)は、「血清検査の使用は慎重に行われなければならない。使用する時期が早すぎると、回復期にある患者にはまだウイルスが残っていて体外に放出する恐れがあり、他者へのリスクとなる可能性がある」と指摘する。

 こうしたリスクを考慮し、世界では今後もRT-PCR検査の生産と使用を継続し、血清検査と組み合わせて利用する可能性が高い。これについて前出のブランシュコット会長は、「二つの検査を組み合わせて用いられるかもしれない。RT-PCRで検査対象者にまだ感染力があるかどうかを調べ、血清検査で対象者が抗体を持っているかどうかを明らかにする」と説明した。

 また、この他にも落とし穴となる可能性があるのは、COVID-19から回復した人が再感染に対して免疫があるかどうかが正確には分かっていない点だ。

 ロックダウン状態にある国々の大半では、いまだに検査能力が不足している。そのため、たとえ抗体検査が広く利用できるようになったとしても、移動規制の解除がいつになるのかはまったく見当がつかない。

 だが、血清検査は人類の何パーセントがCOVID-19に感染しているかを確実に知る唯一の方法だ。この割合は現時点でのさまざまな不明な点、とりわけ致死率に関する判断材料の一つとなる。(c)AFP/Paul RICARD