■貯蓄はほとんどなし

 1983年にエルサルバドルから移住してきたロドリゲスさんは突然、初めて失業保険に頼らざるを得なくなった。だが、失業保険の給付額はロドリゲスさんの収入の大半を支えていたチップを考慮に入れずに決まるため、3人の子どもを養っていけるのか不安だ。「多少の貯金はあるが、数か月しかもたない」とロドリゲスさんはAFPに語った。

 ロドリゲスさんだけではない。オックスフォード・エコノミクスの調査によると米国人の半数は、予期していなかった経済的打撃に対処できる緊急時のための貯蓄を持たない。

 低所得世帯になると状況はさらに深刻で、4分の3はいざというときの蓄えがない。「最も必要な人々こそ、ほとんど何も持っていない」とダコ氏は指摘する。おまけに新型ウイルスの流行による経済の停滞はいつまで続くのか、全く見当もつかない。

 アメリカン大学(American University)のブラッドリー・ハーディー(Bradley Hardy)教授は、「雇用と賃金に対する影響は少なくとも2021年初めまで続くと考えて、備えなければならない」という。そして「米国の多くの家庭は、貯蓄率が低い一方で抱えているローンが多く、今起こりつつある経済的逆風を乗り切るために必要な備えがない」と指摘する。