■「敬意を示してほしいだけ」

 スペインの首都マドリード郊外のアルコルコン(Alcorcon)のスーパーでレジ係として働くアナさんは、同じ店で働くレジ係はほぼ全員が女性で、世話しなければならない子どもや親が自宅にいると言う。

 アナさんは、「レジにいる時も、感染リスクが高いという母親のことを考えている。母親に食べ物を渡したりバッグに触ったりするだけで、ウイルスをうつしてしまうのではないかと考えてしまう」と述べた。

 ストレスで思い詰め、職場に行きたくないがために電話で病欠すると連絡して欠勤する従業員もいる。

 AFPの取材に応じた従業員らの店では、従業員が病欠したり、外出制限で外に出られない子どもの世話をするために休暇を取ったりしたことで、人員が3分の1程度減少したという。

 イタリア・ノバーラのスーパーのレジ係、ピエラさんは、自身や他の従業員は自分たちが軽く扱われていると感じ、毎日仕事に行くのに「勇気」が必要だと言う。ピエラさんが2010年に立ち上げたフェイスブック(Facebook)ページ「レジ係の告白(Confessions of a Cashier)」では、同じ業界で働く人々が鬱憤(うっぷん)を晴らし同情し合うことで、士気を取り戻すのに役立っている。

 ピエラさんは、「私たちが英雄だと言う人もいる」と話した。「でも私はそうは思わない。私たちは見下されながらも、ただ自分たちの仕事をしているだけだ」と述べた。

「私は英雄になりたくはない。ただ敬意を示してほしいだけ。それだけで十分だ」

 映像は首都ローマの店舗で働くレジ係の人々、3月24日撮影。(c)AFP/Alexandria SAGE