■フェイクニュースと強烈な恐怖心

 デマ情報やうわさがはびこる環境の中、恐怖におびえた人々の矢面に立つのは医療従事者だけではない。

 海外で足止めを食らっていたインド人や、現在も重要な貨物の配送管理に当たる航空会社や空港職員らもまた、脅迫の対象となっている。

 インドの航空会社インディゴ(IndiGo)およびエア・インディア(Air India)は、従業員に対する脅迫行為を非難。

 エア・インディアで客室乗務員として働く女性はAFPに対し、米国へ向かっていた間、女性が「全員に感染させる」ためアパートから追い出すとの脅迫を受けたと明かした。

 さらなるレッテル貼りの恐怖から名前を明かすのを恐れたこの女性は、「その夜は一睡もできなかった」と述べ、「たとえもし帰宅しても、誰かが家の玄関をこじ開けるか、私を追い出すよう人々に呼び掛けるのではないかと思い、怖かった」と語った。

 女性の夫は、警察に助けを求めざるを得なかったという。

 また、もっと運が悪かった人もいたと説明。AFPの取材を拒否したこの女性の同僚は、自宅から追い出され、現在は両親と生活していると明かし、「あらゆるフェイクニュースやワッツアップ(WhatsApp)の転送メッセージのせいで、彼らは何が起きているのか把握できず、強い恐怖心からこうした行動に出てしまう」と指摘した。

 インド商用パイロット協会(ICPA)のT・プラビーン・キールティ(T. Praveen Keerthi)事務局長はAFPに対し、航空会社の職員から50件超の訴えが寄せられていると説明。

 同事務局長は、「航空会社の従業員たちが、住まいのある敷地内に入る際に警備員から止められている」と述べ、「われわれも、家族や子どもを家に残して仲間である市民を助けている。私たちの同僚に対して、嫌がらせをしたり追い出したりするのは少しも予期しなかったことだ」と話した。(c)AFP/Aishwarya Kumar and Jalees Andrabi with Ammu Kannampilly and Vishal Manve in Mumbai