動画:64歳、サーファー 福島の海に生きる
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■「元には戻らない」
今年行われる東京オリンピック。日本政府は「復興五輪」と位置付けている。
オリンピックを通じて福島を「安全」だと報道してくれることはありがたい、そう鈴木さんは話す。だが「復興五輪」については否定的だ。
「生活という部分ではもう復興している。でも元に戻すことが復興だとしたら、元には戻らない。そういう意味では、絶対に福島は復興しない。一生、歴史として残ってしまう」
鈴木さんがかつてサーフショップを営んでいた右田浜は、現在かさ上げが進み風力発電機がいくつも稼働している。そこに住む人の姿はない。
昨年夏、南相馬市は震災以来初めて北泉海岸を正式に海開きした。鈴木さんのホームビーチだ。
「海の水はしょっぱいって知らなかった子どもたちが、海の水はすごいしょっぱいんだと言いながら、キャーキャー言いながら遊んでいた。それを見ていて、すごく気持ちがよかった」
鈴木さんは、福島の自然が好きだ。
「サーフィンという部分で自然が残っていて、こんなにいい場所はないし、人もいい人ばかりだし、(中略)すごく心地がいい。それがいいと感じてくれる人だけでもいいから来てもらって、分かち合いたい。それで十分だ」
今月誕生日を迎えると、65歳になる。サーフィンをしない人生には二度としないと決めている。
「70歳になって(動きの速い)ショートボードに乗れなくなったら、ロングボードに転向しようかな、なんて思っている」
そう言って、穏やかに笑った。
映像は4日撮影。(c)AFP/Harumi OZAWA