【3月11日 CNS】新型コロナウイルス治療の中心拠点として急きょ建設された中国・湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の雷神山病院。ウイルスと闘う最前線のこの「戦場」で2月28日夕方、于景海(Yu Jinghai)さん(25)が同僚の女性とささやかな結婚式を挙げた。于さんは1時間前まで、ICU病棟で働いていた。

 于さんと周玲億(Zhou Lingyi)さんは、ともに上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)医学部付属仁済病院(Renji Hospital)に勤め、于さんは肝移植治療室の看護師、周さんは消化器内科の看護師。2月19日から上海第8次湖北支援医療チームに入り、雷神山病院のICU病棟で働いている。

 2人はもともと、2月28日に上海で結婚式を挙げる予定だったが、雷神山病院が2人のため、特別な結婚式を計画した。

 会場は病院敷地内の空き地。近くのプレハブ施設に赤い風船を飾り、バラの花束に「白首斉眉 鴛鴦比翼(白髪になるまで仲むつまじく 翼を並べて飛ぶおしどり夫婦のように)」と書いたカードを添えた。新郎新婦はマスクをしながら、同じ濃い青の仕事服で現れた。

 于さんは片膝をついてバラを差し出しながら、「結婚してください」とプロポーズ。バラを受けとった周さんは大きな声で迷わず「はい」と答えた。全国から集まった12の医療チームの代表者らが見届け人となる中、于さんはリボンでつくった指輪を周さんの指につけた。

 2人は同じ病院で働いているが、顔を合わせる機会は少なく、いつも電話や微信(ウィーチャット、WeChat)で励まし合っている。「本当は2人の両親や友人に見守られて結婚式を挙げたいと思っていました」と周さん。新型ウイルスの流行によってその夢は奪われたが、愛する人と一緒に闘うという人生で得難い経験をすることになった。「今日のこの特別な結婚式は決して一生忘れることないでしょう」

 雷神山病院の王行環(Wang Xinghuan)院長は「私はこれまで数え切れないほどの結婚式に参加してきましたが、これほど素朴で、これほど特別な結婚式は初めて」と話す。

 結婚式は20分もかからずに終わった。周さんはこの日も夜勤を務めた。(c)CNS/JCM/AFPBB News