■アジアの出来事には影響されない

 シロン氏によると、CDCの統計では昨年のクルーズ船乗客数は3100万人以上だが、ノロウイルスに感染した人はそのうちの0.003%に当たる1038人にすぎないという。

 さらにシロン氏ら専門家は、新型コロナウイルスの流行が過ぎれば、クルーズ船需要は素早く回復すると考えている。

 クルーズ業界の国際団体「クルーズライン国際協会(CLIA)」は、2009年に1780万人だった乗客数が2019年には3100万人になったことを指摘し、その数が年々増加していることを明らかにしている。そのうちの半数が北米の乗客だったとされ、アナリストらはこれらの人々がアジアで起こっている出来事に影響されないだろうとの見方を示している。

■「閉じ込められる」

 米オハイオ州ケント州立大学(Kent State University)のタラ・C・スミス(Tara C. Smith)教授(疫学)は「確かに、どのような方法で旅をしても病気になる可能性はある」「だが、クルーズ船では、他の旅行者と同じ空間での滞在が続くことから、感染のリスクは増強される」と話す。

 スミス氏は、新型コロナウイルスは「極端な例」で、クルーズ船利用者の大半は何の問題にも遭遇しないだろうと認める。だが、個人的にはリスクを取りたくはないと話し、「どのような感染症が持ち込まれるか分からないうえ、クルーズ船は他の利用者と一緒に閉じ込められてしまうような環境だから」とその理由を述べた。(c)AFP/Peter STEBBINGS