■モビリティーの未来

 今年のCESは、交通渋滞や二酸化炭素排出を抑制する自動運転技術やカーシェアリング用の乗り物が話題の中心となった。

 スイスのリンスピード(Rinspeed)は、最新の自動運転電気自動車(EV)「メトロスナップ(Metrosnap)」を、ドイツのボッシュ(Bosch)は自動運転のシャトルバスを展示した。

 さらに、新技術を搭載した自転車も登場した。

 フランスのスタートアップ、ウェロ(Wello)は、屋根の部分にソーラーパネルの設置された、人力でも電気でも動く三輪車を発表した。左右に大きく開口部が設けられた三輪車は、フランスの郵便サービスで既に使われている。

 中国のスマサークル(Smacircle)のシンプルな軽量電動自転車は、二つの小さな輪がつながったようなデザインで、折り畳んでリュックサックやに入れて持ち運びできる。高さは53センチ、重さは10キロ。

 同社のダレン・パイク(Darren Pike)氏は、電車通勤する人が駅からの少しの距離を乗るのに利用できると述べている。

 他方で、韓国の現代(ヒュンダイ)自動車 (Hyundai Motor)は、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)の航空ライドシェアサービス「ウーバーエア(Uber Air)」向けに空飛ぶ車を大量生産すると発表した。空飛ぶタクシーの実現は近いかもしれない。

■トヨタの実証都市「Woven City」

 トヨタ自動車(Toyota Motor)は、富士山(Mount Fuji)の裾野に「Woven City(ウーブン・シティ)」と名付けた、自動運転車やその他の技術を試験運用する70万平方メートルの「街」を建設する。電力源は水素燃料電池だ。トヨタの豊田章男(Akio Toyoda)社長は6日に行われた記者発表で、「ゼロから街をつくり上げることは、たとえ今回のような小さな規模であったとしても…将来技術の開発に向けて、非常にユニークな機会」になると語った。

「Woven City」は、トヨタの従業員や客員研究員ら2000人前後の受け入れを想定して設計され、持続可能な建材や家事を支援する室内用ロボット、住人の健康状態をチェックするセンサー式の人工知能(AI)が導入される。発表の場には、デンマーク出身の建築家で、ビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)のビャルケ・インゲルス(Bjarke Ingels)最高経営責任者(CEO)も同席。BIGはトヨタの今回のプロジェクトにも協力する。