【11月2日 CNS】作家の劉慈欣(Liu Cixin)さんは、作品「三体(The Three-Body Problem)」によって中国のSF小説界で代表的な人物となった。現在、同氏のSF短編「流浪地球(The Wandering Earth、流転の地球)」を原作とする映画が好評を博している。

【関連記事】韓国で売れなかった中国SF「三体」、日本での大ヒットが中国で話題に

 中国・重慶市(Chongqing)で先月25日から27日にかけ、優秀な中国語SF作品に対して贈られる「中国星雲賞」の授賞イベントが行われた。そこで記者は、劉慈欣さんにSF映画についてインタビューを行った。(文中敬称略)

■SF小説の映画化は難しい

記者:今春、SF小説「三体」の韓国語版と日本語版がそれぞれの国で出版された。この本は日本では歓迎されたが、韓国で第1版は400冊しか売れなかった。これほど差が出た原因は何か?

劉慈欣:韓国版の表紙を制作した画家は、恐らくイメージする中国的要素を一枚の絵の中にすべて入れた。彼がこの小説を真剣に読んだのかも疑問だ。もちろん、韓国でこの本が売れない理由はこの表紙がすべてではなく、ほかの要素もあるだろう。日本にはSFを好んで読む伝統がある。日本のSF小説はかつて光り輝いた時代もあった。小松左京(Sakyo Komatsu)氏の時代、彼らの文学は大量のSF読者を育てた。これが日本で多くの読者が「三体」を読んでくれた理由かもしれない。

記者:SF短編「流浪地球」は2012年に映画化の要請があったと聞いたが、実際に映画ができたのは2019年で、それまで7年もかかった。どうしてSF小説の映画化は難しいのか?最大の問題は何か?

劉慈欣:たしかに難しい。海外の例でいうと、アシモフ(Isaac Asimov)の「ファウンデーション(Foundation)」シリーズ、アーサー・C・クラーク(Arthur Charles Clarke)の「宇宙のランデヴー(Rendezvous with Rama)」など、映画化に多くの時間がかかっている。40年から50年もかかっているケースもある。常にもうすぐだと言いながら、映画はできない。私の作品など時間はまだ短いほうだ。SF映画というものは、資金や特殊効果の制作など、すべてにおいて大量の時間を費やすものだ。

記者:近々完成する映画はないか?

劉慈欣:この4年から5年の間に完成する映画はない。今から「流浪地球2」の撮影を開始したとしても、4年から5年はかかる。あと「球状閃光(Globe Lightning)」の映画化も始動してからかなり時間がかかっているが、これもうまくいって4年から5年後だろう。(c)CNS-重慶晩報/JCM/AFPBB News