【10月4日 AFP】シリア・タルトゥース(Tartus)湾にあるロシアの海軍施設の窓から見える公園の木を指さし、基地司令はこう言った──「ここの木々が育つための時間はある」。

 シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を支援するためにロシアが軍事介入してから4年が過ぎた。現時点において、ロシア軍がシリアから撤退する様子は全くない。実際には、その逆だ。

 ロシア軍当局はこのほど、AFPをはじめとするメディア関係者を対象にシリアでのプレスツアーを実施した。そこには、シリアに腰を据え、中東での存在感を固めようとするロシアの意志を見ることができた。

 タルトゥース湾には、ロシアの軍艦や潜水艦が当たり前のように停泊していた。取材陣は、非番の軍人らがウエートトレーニングをするジム、ロシアの商品を取り扱うベーカリーやロシアの伝統的なサウナにも案内された。タマネギ形屋根のロシア正教会まであった。

 ロシアは2015年9月、内戦の絶頂期にシリアに軍事介入した。当時、シリアの大部分は、イスラム国(IS)などの過激派組織や反政府組織が支配していた。

 だがその後、ロシアの介入が転機となり、親政府勢力がその多くを奪還した。

 これまでにシリアに派遣されたロシア兵は6万3000人に上り、ピーク時には1日100回以上の攻撃を行っていた。民間軍事会社の人員が多数、前線で親政府派勢力と共に戦っていたとも言われている。シリア内戦は、ロシア軍にとって重要な実地訓練の場となり、ミサイルや爆撃機Tu22Mなど武器の試験を行うこともできた。

 現在は、タルトゥース基地やアサド氏の故郷ラタキア(Latakia)近郊フメイミム(Hmeimim)空軍基地などに約3000人のロシア兵が配置されている。

 ロシアはこの2つの基地を49年契約で借りている。中東でロシアが長期的な存在感を示すのは今回が初めてだ。そして、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、ロシアの影響力を世界で拡大するという使命を掲げ、必要な限りシリアに軍を駐留させると言明している。