■海岸線に位置する都市の大半は消失

 さらに、氷床は今後数百年にわたって質量を失い続けるため、将来的には、この何倍もの悲惨な影響がもたらされると、科学者らは警告する。

 IPCC報告書の草案によると、22世紀には海面上昇速度が現在の年間3.6ミリから年間数十センチにまで100倍も急加速する可能性が高いという。

 米気候研究機関クライメート・セントラル(Climate Central)の最高経営責任者(CEO)と主任研究員を務めるベン・ストラウス(Ben Strauss)氏が主導した研究によると、たとえ気温の上昇幅を2度に抑えても、最終的には2億8000万人が現在居住している地域を水没させるほどの海面上昇が起こるのは避けられないという。

 壊滅的な被害が起きる可能性──今日すでに明白に表れているが──は主に熱帯暴風雨の急増によってもたらされる。

「2度の温度上昇は、結果として4.5メートル以上、おそらく6メートルの海面上昇につながる」と、ストラウス氏はAFPの取材に語った。

「現在の世界各地の海岸線に位置する都市の大半を消失させるには、これで十分だ」

 IPCCの報告書に情報を提供しているストラウス氏は、現在沿岸に位置する多数の主要都市で、気温が2度上昇することで最終的に水没する地域に都市人口の何%が居住しているかを推定した。