■責任回避と強い大統領に見せるため?

 トランプ氏は最初のツイート後、サウジとはいかなる約束も交わしておらず、何らかの行動を起こした場合はサウジから財政面での支援を得られると主張した。米国は自分の意思で判断すると強調したのだ。

 昨年、トルコ、イスタンブールのサウジアラビア総領事館内でサウジ人ジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏が殺害された事件以降、共和党からもサルマン皇太子を非難する声は上がっている。

 だが、トランプ氏はイエメン内戦に介入するサウジ主導の連合軍への支援を停止する米議会の決議に拒否権を重ねて発動するなど、同国に関する問題をめぐっては議会に反対する姿勢をみせている。イエメン内戦について国連(UN)は、世界最悪の人道危機だと表現している。

 トランプ氏は石油施設攻撃に対する反応の責任が自分一人に降りかかるのを避けるため、サウジに従うふりをしている可能性もあると指摘するのは、米シンクタンク「カーネギー国際平和財団(Carnegie Endowment for International Peace)の中東専門家ヤスミン・ファルーク(Yasmine Farouk)氏だ。

「これは、戦争を望まないサウジへの助けとなる」とファルーク氏は言う。だが、トランプ氏は「最終的に軍事行動に至らなかったとしても、自分が弱い大統領に見えないよう見せかけること」にも成功していると指摘した。

 サウジの石油施設攻撃は、トランプ氏が米ニューヨークで開催の国連総会(UN General Assembly)に合わせ、イランのハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領との会談を検討している最中に起きた。トランプ氏は昨年、イランとの核合意を破棄しているが、それからはイランにおける緊張緩和においてフランスが主要な役割を果たしており、両者の会談についても実現に向けて動いている。