■合意のある離脱

 ジョンソン氏は7月に首相に就任したが、議会に3回否決されたテリーザ・メイ(Theresa May)前英首相の離脱案の内容を変えたいとの考えがある。

 ジョンソン氏が特に反対しているのは、北アイルランドとEU加盟国であるアイルランドとの国境開放に関する条項だ。

 厳格な国境管理の復活を防ぐいわゆる「バックストップ(安全策)」の導入を主張するEUは、英政府がいまだこれに代わる有効な案を提示できていないと指摘している。

 ジョンソン氏が望みを託すのは、10月17、18日に開かれるEU首脳会議(サミット)だ。合意なき離脱の脅威からEUが妥協し、ぎりぎりでの合意にこぎ着けたい考えだ。

 他方で、バックストップを含むメイ氏の離脱案が、議会でもう一度、採決に掛けられる可能性を指摘する人も一部いる。

■離脱期限の延長

 下院が承認した法案は、10月19日までにEUとの合意に達しなければ、2020年1月31日までEU離脱の期限を延長するよう指示している。法案は今後、上院の最終承認を得る必要があり、また、延長には最終的にEU加盟全28か国の満場一致の合意が求められる。

 延長が認められた場合、政府は交渉状況を定期的に報告しなければならない。もし来年1月31日までに合意に達しなければ、法案では再度、期限を延長するよう示唆している。

 こうした状況についてジョンソン氏は、この法律がブレグジットを何年も遅らせる可能性があると警告している。

■離脱自体を中止?

 このシナリオは最も起こらなそうではあるが、完全には除外できない。

 労働党のジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)党首は、もし労働党が政権を握れば、EUにとどまるかどうかを問う2回目の国民投票を実施すると約束している。(c)AFP/Joe JACKSON