■「子どもたちの暗い日常を美しくカラフルなものに」

 移動映画館の目的は、自分が子どもの頃に見逃してしまった初期の活動写真が放つ銀幕の魔法を、幼い子どもたちに経験させることだとヒンデさんは話す。

 自分たちが小学生のときに連れて行かれて見ていたのは、その年齢にふさわしくない低水準の映画だったとヒンデさんは当時を振り返った。「映画の真実と美しさ」を発見したのはもっと後になってからだという。

 今の子どもたちに新しい経験をさせてあげるため、「暗い日常を美しくカラフルなものに変える努力をしている」と話す。

 数十年前から疎外された存在だったシリアのクルド人は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」掃討作戦の先頭に立ったことを除けば、8年にわたる内戦の影響はそれほど受けず、その間に自治権獲得に向けた活動を行ってきた。

 クルド人主体の戦闘員たちは今も、潜伏するISの残党と戦っている。だが、ヒンデさんらのチームはすでに未来を見据えている。移動映画館の次は、どこか特定の場所で映画館をオープンしたいという。「内戦が終わり、国が安定を取り戻す時期にもよるが」。ヒンデさんはそう話した。(c)AFP/Delil Souleiman