【8月15日 AFP】極右勢力による法の隙間を突いた攻撃が急増している米国で、「自国産テロリズム」を厳しく取り締まるための新たな法整備を求める声が挙がっている。

 こうした犯罪行為では、組織の支援を受けずに単独で行動する人物が関わっていることが多いため、前もって「要注意人物」をマークすることが難しい。また、問題解決に向けたトランプ政権の消極的な姿勢も、未然に犯罪を防ぐことを困難にさせていると専門家らは指摘している。

 米シンクタンク「ニューアメリカ(New America)」によると、2001年9月11日の米同時多発攻撃以降、米国内で起きたイスラム過激派による攻撃では104人が犠牲になっている。一方、同時期に起きた極右勢力による攻撃では、109人が命を落としているという。

 連邦捜査局(FBI)はこれまで、ネオナチ、白人至上主義者、反ユダヤ主義者らを二次的な脅威として捉えてきたが、現在は該当する人物への監視を強化しているとしている。

 しかし、監視が強化された後でも、今月3日に起きた米テキサス州エルパソ(El Paso)での銃撃事件を阻止することはできなかった。この事件の死者は22人で、その多くはラテン系だった。また、昨年10月にシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で11人を殺害した反ユダヤ主義者のトラック運転手(26)による犯行も止めることはできていない。

 こうした状況について一部の専門家らは、反極右勢力の動きに対してトランプ氏が支持を明確にしておらず、人種差別を助長しているとの批判的な見方を示している。

■監視可能なイスラム過激派

 9.11以降、米当局は国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」などのイスラム過激派を注視してきた。

 しかし、実際にその発生件数が増えているのは、イスラム過激派組織とは関係のない銃撃事件だ。そうした中、FBIのクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官は7月、「自国産テロリズム」の脅威に対応するため、大量のリソースを投入していることを明言。捜査中の案件は850件に上り、今年に入ってから約100人が政治的過激主義に関連する事案で逮捕されていることを明らかにした。