【8月7日 CNS】専門的な介護を受けながら、尊厳を保ちつつ、平穏で安らかに人生の最後の時を迎えることは、誰もが望むものだ――中国・上海市で1日、終末期ケアのスタートイベントが催された。2020年までに、高齢化社会の需要を満足するため、上海の各居住区にある衛生服務センターで終末期ケアを受けるか、あるいは自宅で同サービスを受けられるようになる。

【関連記事】中国に初めてのホスピス設立 尊厳ある最期とは

 上海では、終末期ケアをかかりつけ医との契約内容に盛り込むことも検討している。

 上海市衛生健康委員会のデータによると、2018年末の時点で、上海には76か所の医療機関が終末期ケアを行っており、200を超える医療機関が終末期介護科を設け、900を超える終末期ケアベッドと700を超える自宅ベッドを提供している。現時点で、終末期ケアを延べ2万8700人の患者に提供し、患者と家族の満足度はそれぞれ99.39%と98.9%だとしている。

 普陀区(Putuo)は、中国初の終末期ケアを提供する5つの試行地区の一つだ。長征鎮(Changzheng)の居住区衛生サービスセンターは、2012年から終末期ケアを始めている。現在、終末期ケア用の病床は10床あるが、利用率は高い。2019年6月末時点で、ここの病棟は延べ934人の終末期患者を受け入れ、そのうち約8割が末期のがん患者だ。

 病棟内に入ると、生き生きとした植物や観賞魚が目に入ってくる。緑にあふれた屋上庭園、ピンク色の壁や装飾品は、ここが医療機関であることを忘れさせてくれる。

 廊下の突き当たりの部屋は、48時間の「カウントダウン」が始まった患者のためのもので、天井にはエンゼルが飛び交い、ゆったりとした音楽が流れている。患者は家族が付き添っている中で、最後の時を静かに迎える。(c)CNS/JCM/AFPBB News