【7月25日 AFP】20世紀後半ほどの急速な気温上昇は過去2000年さかのぼっても前例がないとする3本の研究論文が24日、英科学誌ネイチャー(Nature)などで発表された。研究に携わった専門家らは研究結果について、地球温暖化は人為的要因によるものという考えを否定する意見に真っ向から反論するものだとしている。

 欧州が今月2度目の記録的な熱波に見舞われる中、論文では過去2000年の地域ごとの気温変化について、これまでで最も詳細な説明がなされている。

 研究者らは気候変動に関する総合的なタイムラインを作成するため、木の年輪や堆積物コア、サンゴ礁、温度計による測定など、気温を示す700近い指標から集めたデータを利用。

 研究から得られた明確な結論は、化石燃料を原動力とする戦後経済によって生産性と消費がかつてない隆盛を極めた20世紀後半ほど、気温が急速に、一貫して上昇したことは現生人類の歴史においてほかにないということだった。

 ネイチャーに発表された論文では、地域ごとの気温の経時的変化について調査。それによると小氷期などの異例な期間、長らく推定されていたような世界同時的な気温の上下は起きておらず、ここ2000年のうちほとんどで気温の変化の仕方は地域ごとに違っていたという。

 米コロンビア大学(Columbia University)ラモントドハティ地球観測研究所(Lamont-Doherty Earth Observatory)のネイサン・シュタイガー(Nathan Steiger)氏は、「過去に目を向けてみると実際に気温の変化は地域的な現象としてはあったが、地球規模のものではなかった」と指摘。これは現在の温暖化傾向とはまったく対照的だ。

 また、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)に発表された論文では、著者であるスイス・ベルン大学(University of Bern)のラファエル・ニューコム(Raphael Neukom)氏率いる研究チームが地表の温暖化ペースを調査し、数十年ごとに区切った期間の平均値を割り出した。

 その結果、産業革命以前の気温変化は主に火山活動によるものだと判明。また一方で、20世紀後半のような急速な地球温暖化は人類史上ほかに例がないことも分かった。

 さらにもう一本の論文では、アフリカの干ばつと弱いモンスーンをもたらした噴火により、産業革命期に至るまでの世界全体の気温は下がっていたことが判明した。

 ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)のマーク・マスリン(Mark Maslin)教授(気候学)は研究結果について、地球温暖化は自然な気候サイクルの一部だと唱える否定論者の主張に終止符を打つものになるかもしれないと指摘。

 また、研究により「過去の地域的・局所的な気候変化と、人為的な温室効果ガス排出による地球規模の影響との明らかな違い」が示されたと強調した。(c)AFP/Patrick GALEY