【6月28日 AFP】米議会下院は27日、対メキシコ国境で拡大する移民危機対策として46億ドル(約4950億円)の支出を認める法案を可決した。民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領からの圧力に屈する格好となった。

 トランプ政権の支持を受けた同法案は前日、上院で可決。下院の採決では、超党派の支持を集め、賛成305、反対102で可決された。大統領の署名を経て成立する。

 この資金は、危機が拡大する中で資金が大いに不足している米メキシコ国境沿いの移民保護施設などに投入される。移民の子どもたちは劣悪な環境で収容されており、せっけんや練り歯磨き、シャワーがないケースや、大人の監督が行き届かなかったり、十分な食事が与えられなかったりする場所もある。

 また、南部国境に押し寄せる主に中米からの移民に圧倒されてきた国土安全保障省と厚生省といった政府機関にも投入される。

 共和党議員らは、国境で働く職員や、国境に兵士らを配備する機関や人身売買について捜査する機関の職員の残業手当などの賃金数千万ドルを同法案に盛り込むべきと主張していた。

 プラミラ・ジャヤパル(Pramila Jayapal)下院議員ら民主党議員95人は、同法案に反対。ジャヤパル議員は上院で作成された同法案について、保護環境の改善に関するフェイルセーフが不十分で、国防総省が軍の敷地内に移民の子ども向けのテント村を設置するのを認めることになると指摘。

 さらに、「移民・税関捜査局(ICE)の本国送還に関わる部署にさらなる資金を提供し続け、子どもの保護に関する必要最小限の基準をくぐりぬける非合法な管理を容認するもの」とも訴えた。(c)AFP