■スイスがトップ

 スイスとノルウェーでは、財布の所有者に連絡を取った従業員の割合が70%を上回った。

 一方、中国では現金が入っていない財布を返した従業員の割合は10%に満たなかったが、現金が入っていた場合はこの数字が倍増した。

 コーン氏は、国が相対的に裕福であるか貧しいかは実験結果の差異を説明するのには不十分であることが分かったとしながら、教育と政治体制は関係している可能性があると続けた。全体的に見て、国民が意思決定プロセスに参加していることを意識している民主的な国ほど、国民の正直さに関するポイントが高くなる傾向があった。

 他方で、個人が所属感を抱く「内集団」を超えて、道徳的規範を重視する地域的な文化的価値観もまた、届出率の高さに関連しているとみられる。これにより、イタリアなど家族の絆が伝統的に強い国での財布の返却率が、北欧のより個人主義的な国に比べて低い理由を説明できるだろうと、論文共同執筆者のクリスチャン・ズンド(Christian Zund)氏は指摘した。(c)AFP/Ivan Couronne / Issam Ahmed