■アフリカに迫る「中国政府のデジタル独裁」?

 アフリカにおけるファーウェイの存在感は、スマートフォンの販売やモバイルネットワークの構築だけにとどまらない。南アフリカでは、トップクラスの複数の大学でファーウェイが研修を提供しており、今年は5G専門の講座も開設されている。

 またケニア政府は今年4月、データセンター建設や「スマートシティー」などのサービス構築のため、ファーウェイと1億7200万ドル(約187億円)規模の契約を結んでいる。

 同社はまた都市監視プログラム「セーフシティ(Safe City)」も提供しており、ケニアの首都ナイロビやインド洋の島しょ国モーリシャスで導入されている。

 モーリシャスでは全国2000か所に計4000台の「スマート」監視カメラが設置されている。同国の一部報道機関からは、「独裁国家・中国」による「デジタル独裁だ」との批判の声が上がっている。

 しかし、ガーナのアルバート・カンダパー(Albert Kan-Dapaah)国家安全保障相は、「犯罪が起きた場合、この監視カメラのおかげで魔法のように解決できる」とファーウェイの宣伝ビデオで語った。

 ファーウェイの海底通信ケーブル部門、華為海洋網路(ファーウェイ・マリン、Huawei Marine)は、アフリカとアジアを結ぶ全長1万2000キロのケーブル設置を支援している。

 ファーウェイがアフリカに深く根を下ろす中、アフリカ諸国は米中貿易摩擦の巻き添えにならないようにすることは困難だと感じているかもしれない。「アフリカは、得るものが何もないのだから加わる必要がない貿易戦争で板挟みになっている」とニザール氏は語った。(c)Pierre Donadieu and AFP's African bureaus