【6月9日 AFP】国際陸上競技連盟(IAAF)は8日、モナコで理事会を開き、ロシアのドーピング違反による資格停止処分を継続する決定を下した。これによりロシアは、現状では9月の世界陸上ドーハ大会(IAAF World Championships in Athletics Doha)に参加できない。

 IAAFはロシアの国家ぐるみのドーピングの証拠が露見したとして、当初2015年11月に下した処分を賛成多数で継続した。

 この問題を調査しているIAAFのタスクフォースは、いくつかの「ポジティブな展開」があったと報告したという。その中には、2011年から2015年にかけて薬物スキャンダルの中心的な舞台となったモスクワの研究所に立ち入るための費用や、タスクフォースの経費280万ユーロ(約3億4000万円)の支払いも含まれている。

 しかし消息筋によると、資格停止処分を受けているロシア人コーチが選手への指導を続けているとの報告を受け、タスクフォースは頭を悩まされているという。

 また、英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)は2日、2017年に開催された第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)の男子走り高跳びで銀メダルを獲得したダニイル・ルイセンコ(Danil Lysenko)が、体調不良によりドーピング検査のための居場所情報の登録ができなかったという書類をロシア陸上競技連盟(RUSAF)が偽造したと報じている。

 タスクフォースはロシアに対し、選手や職員を含めたすべての関係者に反ドーピング文化を徹底するよう求めている。

 ロシアが最後に参加した国際舞台は2015年の第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)で、IAAFにより出場が認められた同国アスリートは中立選手として競技に参加した。

 2018年は74人のロシア人アスリートが中立選手として大会に出場しており、2019年はその数がこれまでに64人となっている。

 ロシアの処分が撤回される次のチャンスはカタール・ドーハで開催される理事会となるが、開催日は9月27日から10月6日まで開催される世界陸上ドーハ大会の数日前となっている。(c)AFP/Luke PHILLIPS