■人間は愚か?

 米国横断レースに参加した究極のランナーたちは最初の1週間、毎日8リットルの水を飲み、1日当たりの燃焼カロリーは6000カロリーだった。だが、レースの最初から最後まで体重は減り続け、摂取カロリーと燃焼カロリーが均衡することは一度もなかった。

「1日当たり4000カロリーを超える摂取はほとんど不可能だ」とポンツァー氏は指摘する。「それ以上に燃焼することはできるが、すると毎日体重が減っていく。つまり、永遠に持続可能な状態ではない。数日や数週間は可能だが、永遠には続けられない」

 研究チームは、人間の耐久力の限界はおそらく筋肉や心臓よりも、消化活動に関連しているのではないかと指摘している。過去のスポーツ研究の中で、消化活動は最も共有されていない要素だ。サイクリングやランニング、トライアスロンで使う筋肉は異なるが、共通しているのは胃、つまり消化活動だ。

 一方、霊長類の中では身体的能力において人間が際立っているが、他の動物では、例えば渡り鳥のように驚異的な耐久力を持つものもいる。しかしそうした領域については、まだ本格的な研究が行われたことがない。

 ポンツァー氏は人間と動物の重要な違いを指摘する。「他の動物は非常に賢く、人間のような尋常でないことはせずにいるのだ」 (c)AFP/Ivan Couronne