■家族が強要

 被害者への法的支援を行う団体「インターナショナル・ジャスティス・ミッション(IJM)」は、フィリピンの子どもたちは性的虐待のライブ配信に出演を強要される危険にさらされていると注意を呼び掛けている。このようなライブ配信は「ショー」と呼ばれ、小児性愛者らはオンライン上で直接支払いを行っているという。

 IJMは「ネットや送金サービスを手軽に利用できるため、フィリピンはこの問題において世界的な人気スポットとなってしまった」と指摘し、このような行為を強要するのは両親など家族の一員であることが多く、自ら虐待に加わることもあるという。

 インターネット監視財団(Internet Watch Foundation)の昨年の報告によると、ネット上の児童虐待動画は2017年に約33%増加した。

■ベトナムやカンボジアにも拡大

 アジアの複数の学校で働いていたフランス人教師(51)は3月、未成年者に対するレイプと児童ポルノを所持していたとしてフランスで逮捕された。その同じ月にフランス人の元警官(55)がレイプ動画を注文し、フィリピン人の子どもたちを性的虐待したとして起訴された。また元英兵(70)は4月に英国で、フィリピンから配信された児童虐待ライブに大金を支払ったとして有罪となった。

 英国家犯罪対策庁(NCA)は、オンライン上で子どもに対し何らかの性的脅威をもたらしている英国人は8万人に上ると推定している。

 タイ・バンコクを拠点とするNGO「エクパット(ECPAT)」のダミアン・キーン(Damian Kean)氏は、ネット上での虐待行為は「カンボジアやベトナム」にまで広がっていると指摘する。

 ネット普及率の高いベトナムでは、ソーシャルメディアを中心にネット上で子どもを標的にする外国人の小児性愛者が増加している。これを受け政府は昨年、小児性犯罪に対する罰則を強化し、16歳未満の子どもに対する性的虐待は禁錮12年を、レイプは死刑を科すことが可能となった。(c)AFP/Sophie DEVILLER and AFP bureaus