■中国とソ連の違い

 米国務省のキロン・スキナー(Kiron Skinner)政策企画局長によると、米国は現在、対ソ連外交戦略としてジョージ・ケナン(George Kennan)外交官が1947年に策定した有名な封じ込め政策と同様の包括的戦略を、中国に対して用意しているという。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官が中国との「冷戦」はないと述べているのに対し、スキナー氏ははっきりとソ連を引き合いに出した格好だが、同氏は同時にソ連が核兵器と強力な軍を保有していながら経済では遅れていたとも指摘する。

 スキナー氏はさらに、ソ連のマルクス主義は西側の知的伝統に根差しているものだったと指摘しつつ、「印象的なのはわれわれが非白人の超大国と初めて相まみえることだと思う」とも発言した。

■スプートニクの再来?

 バラク・オバマ(Barack Obama)前政権下で副大統領ジョー・バイデン(Joe Biden氏のアジア政策顧問だったジェイコブ・ストークス(Jacob Stokes)氏は、オバマ政権が中国との協力範囲をより求めていたのに対し、トランプ政権は中国との関係を「ゼロサム(一方の利益が他方の損失になり、全体としてはプラスマイナスゼロになる)」とみなす傾向があると評した。

 ストークス氏は「中国を研究している人たちの間にはいくらかバランスを取り戻すことはもっともなことだというコンセンサスがあると思うし、世界のパワーバランスが変化し、中国が世界でさらに強くなっている中では当然の成り行きだ」と語る。

 今から約20年前に米国が世界の貿易秩序に中国を迎え入れて以降、十数億人の人口を抱える中国が安価な労働力を提供することにより、米中の間には相互補完的な関係が築かれていった。

 ストークス氏は「そのような基本的な関係は崩れつつある」と指摘するとともに、「中国の大きな部分は今や先進国であり、彼らは先進国のように振る舞い始めている」と評した。

 実際に観測筋が指摘しているように、革新的な第5世代(5G)移動通信網においてはどの企業も真の国際的な競合相手となっていないことが、ファーウェイへの怒りのすべてとなっている。

 米民主党のクリス・マーフィー(Chris Murphy)上院議員はファーウェイへの制裁措置は支持しているとする一方、対抗できる米国企業がいない状況については「片手を後ろに縛られながら戦っている」ようだと表現した。

 ソ連による世界初の人工衛星、スプートニク(Sputnik)の打ち上げ成功によって米国をはじめとする西側諸国に衝撃が走った状況をマーフィー氏は引き合いに出し、「米国には中国に対抗する産業政策がない」と嘆いた。(c)AFP/Shaun TANDON