■昨日の友は今日の敵

 カツナでは両国軍が互いに軍事力を誇示しているものの、武力衝突には発展していない。だが、国境封鎖で交易が中断された影響は大きい。

 食料を北の隣国ウガンダからの輸入に頼るルワンダ国内では、食品価格が高騰。ウガンダからコンゴ民主共和国やブルンジへの輸出ルートも寸断された。危険を冒し、闇に紛れて国境を越えるルワンダ人もいるが、ウガンダ入国を試みた行商人がルワンダ軍に腕を撃たれる事件も起きている。

 カガメ氏とムセベニ氏がそれぞれ指揮する部隊は、かつて東アフリカで数十年にわたり肩を並べて戦った仲だ。その戦果によって2人は高い地位を得た。

 ムセベニ氏は1986年、カガメ氏率いる亡命ルワンダ人部隊の支援を得て、ウガンダの大統領に就任。見返りとして、1994年にカガメ氏の部隊がルワンダを制圧するのを支援した。これにより、フツ(Hutus)人によるツチ(Tutsi)人のジェノサイド(大虐殺)に終止符が打たれ、ルワンダにおけるカガメ氏の地位はゆるぎないものとなった。

 1997年には共に、当時国名をザイールといったコンゴ民主共和国の独裁者モブツ・セセ・セコ(Mobutu Sese Seko)大統領の打倒にも深く関与した。しかし、互いの部隊の間でつのった不安はコンゴ内戦中、キサンガニ(Kisangani)での衝突で表面化。1999~2000年に数百人の死者を出して以来、両者の関係は今に至るまで回復していない。

 それでも、両国はこれまで不仲をよそに完全な外交関係を維持し、軍を対峙(たいじ)させることはなかった。いずれも力強い経済成長を遂げ、欧米諸国との関係を強化。ルワンダは国連平和維持活動(PKO)に大きく貢献し、ウガンダもソマリアでのテロとの戦いに軍を派遣している。(c)AFP/Grace Matsiko with Correspondent in Kigali