■隊長に大迷惑、ISと戦うどころではなかった隊員たち

 訴状によれば、隊員たちは戦争犯罪の疑いがあると上官に何度も報告したが、聞き届けられなかったという。うち7人の隊員は、問題を公にすれば報復を受けるだろうと言われた後、どうにか軍上層部に懸念を伝えることに成功したと証言している。

 ギャラガー隊長が戦争犯罪を犯したとされるのは2017年、イラク北部の要衝モスル(Mosul)をISから奪還する作戦で米特殊部隊がイラク軍と共闘していたときだ。昨年11月の査問委員会では、同隊長が率いていたアルファ小隊の隊員らが、その振る舞いに非常に迷惑するあまり隊長の狙撃銃に細工して照準が定まらないようにしたり、隊長が民間人を銃撃する前に警告発砲して人々を逃がしたりしていたと証言した。

「隊員たちは、ISIS(ISの別称)と戦うよりも、民間人の保護により多くの時間を費やしていたと証言した」と、米海軍犯罪捜査局(NCIS)の特別捜査官は査問会で述べている。

 ニューヨーク・タイムズによれば、ギャラガー隊長は殺害した人数を自慢し、犠牲者の中には女性も複数含まれていたという。

 また、2017年5月にイラク軍が負傷したISの少年兵を拘束した際には、15歳前後と思われるこの少年兵を衛生兵が手当てしているところへギャラガー隊長が無言で割って入り、首と脇腹をナイフで何度も刺したと隊員2人が証言している。その後、同隊長は片手で少年兵の頭をわしづかみにし、もう一方の手にナイフを握って記念撮影をした。さらに、少年兵の遺体をまたいで立ち、部下の一人に米国旗を持たせて再入隊式の宣誓のまね事をしてみせたという。(c)AFP/Laurent BANGUET