■手順を知らなかった墜落機のパイロット

 業界筋が先月AFPに明らかにしていたところによると、ライオン航空とエチオピア航空の墜落した737MAX型機はいずれも、MCASの不具合をパイロットに伝えるこの機能を持っていなかった。

 飛行に必要な揚力が発生しているか監視する「迎え角センサー」(迎え角 angle of attack とは飛行機の翼の前縁と後縁を結ぶ線と空気が流れる方向との角度のこと。飛行機が機首を上げて迎え角を大きくすると揚力が増えるが、迎え角が過大になると失速する恐れがある)がMCASに誤った情報を送ると、操縦室にある「ディスアグリー(不一致)ライト」というインジケーターが点灯する。

 ボーイングは28日にAFPに送った声明で、737MAX型機の運航再開に当たって全てのカスタマーに対して迎え角不一致の警告を標準装備とし、追加費用なしでこのインジケーターを設置するオプションを提供していると説明した。この変更は生産中の全同型機に適用されており、すでに生産された機体は改修で対応するという。

 ボーイングの声明によると「新しいソフトウエアの修正でこれらの2つの機能は分けられ、迎え角不一致警告は独立した標準装備の機能となり、迎え角インジケーターは引き続きカスタマーが希望すれば設置する追加オプションとなる」という。

 ライオン航空の事故では、不具合を起こした迎え角センサーから誤ったデータを受け取ったMCASが機首を下げたため、パイロットは機首を上げようと必死になっていたのではないか、との見方が事故調査関係者の間で出ている。

 機首の上げ下げについてはパイロットの操縦よりMCASが優先されるため、迎え角センサーが正常に動作していなければMCASをオフにすべきだったが、ライオン航空の運航乗員らはそのことを知らなかった。(c)AFP/Luc OLINGA