【4月28日 AFP】イタリア・トリエステ(Trieste)で5月5日に行われるハーフマラソンの大会が、アフリカ選手の出場を認めないと発表したことに対し、人種差別との批判が殺到したことを受けて、大会側が27日、方針を撤回した。

 この問題では、アフリカ選手の搾取を憂慮して、同大会が欧州選手のエントリーしか認めないと発表すると、これに対して欧州議会(European Parliament)のイタリア議員らから批判が集まっていた。

 そのため大会を主催するファビオ・カリーニ(Fabio Carini)氏は「倫理に関する根本的な話題に対し、多大な反応が寄せられたことを受けて、われわれは当初の決定を覆し、アフリカの選手を招待する」「この件は別の形で、別のタイミングで取り上げるべきだったし、そうしていくつもりだ。決定に対する反応を申し訳なく思うし、気分を害された方には謝罪したい」と述べた。

 カリーニ氏は伊日刊紙レプブリカ(La Repubblica)で、除外を決めた理由はただ一つ、アフリカ選手の搾取に反対する立場を取りたかったからだとし、「今年は欧州選手だけが参加する。価値の高いアフリカ選手の品評会となっている現状は規制すべきだし、その姿勢を明確にするためだ。彼らは純粋かつ単純に搾取されている。これ以上黙って見ているわけにはいかない」と話していた。

 またテレビのインタビューでも、カリーニ氏は、アフリカ選手たちは「スポーツ面での価値からすれば不当に低い報酬しかもらえず、ひどい扱いを受けている」と話していた。

 ところがこの決定に対して、欧州議会のイザベラ・デ・モンテ(Isabella de Monte)議員が「深刻かつ不当」な決断だと反応。「われわれは、アフリカ出身だからという理由でプロ選手のレース参加を妨げようとしている。こうした状況がひそかに進行し、われわれは暗黒時代へ戻ろうとしている」と述べていた。

「こうした決断に対する反応として正しいのは、怒りだけだ」「スポーツとは共有と団結、平等、忠誠、敬意を示すためのものであり、われわれは子どもたちにそう教え込んでいるはず」「その中で、こうした決断によって子どもたちに手本を示せていると言えるだろうか?」 (c)AFP