■「諦めない」

 新未来党の政策は、タイ貢献党(Pheu Thai)よりも広範囲に及んでいる。タイ貢献党は、タイに分断をもたらした国外逃亡中のタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相(69)派の政党で、前回の2011年の選挙に比べ得票数を数百万票減らしたものの、依然として下院の第1党になる勢いを保っている。

 新未来党は全国で議席を確保したが、ワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn)国王の姉、ウボンラット王女(Princess Ubolratana)を総選挙に向け首相候補に擁立しようとし、解党を命じられた国家維持党(Thai Raksa Chart Party)の支持者を取り込んだことも影響した。

 現時点において、タナトーン氏は首相候補として名乗るつもりはないという。

 党員らも、野党の立場から軍事政権に異を唱え、若くて進歩的な政策を訴えることで、軍幹部や官僚、プラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相を支持する親軍事政権政党、国民国家の力党(Phalang Pracharat)に対抗するつもりだと主張する。

 しかし、タイの政治は裏切りにあふれた世界で、特に「壮大な計画」を持っている新参者には危険だ。タナトーン氏ら新未来党幹部はすでにささいなことで訴えを起こされており、個人および党として政治活動を禁じられる恐れもある。

 だが、タナトーン氏はタイ社会には構造改革が必要だという自らの主張に自信を持っており、これからも非情なタイの政界に身を置くことに変わりはないと主張する。

「われわれは、諦めずに活動を続ける」 (c) Aidan JONES / Vijitra DUANGDEE