【3月28日 CNS】中国・江西省(Jiangxi)赤十字会によると、同省内の女性が亡くなり、その夫が死亡した妻の臓器の無償提供を決断し、2人の命を救ったという。

 同省高安市(Gaoan)の羅小榮(Luo Xiaorong)さん(41)は2月28日、妻の付桂麗(Fu Guili)さん(36)が突然倒れ、病院に運ばれたとの連絡を受けた。

 羅さん付さん夫妻はには2人の子どもがいる。羅さんは一家の柱として建築の仕事に従事し、付さんは家で2人の子どもの世話をする専業主婦だが、近所の店を手伝っていくらかの収入を得ていた。羅さん一家は、暮らしは豊かではないが、穏やかに楽しく暮らしていた。

 不幸は突然に起きた。付さんが突然倒れ、最終搬送先の南昌大学第一付属医院(The First Affiliated Hospital of Nanchang University)で脳梗塞と診断された。医師らが懸命の治療を行ったにも関わらず、付さんの命を救うことはできなかった。

 突然の不幸に羅さんは打ちひしがれた。子どもたちは未成年で、母親は昨年に脳出血のために半身不随、今また妻が突然の病で倒れ、手術費用だけでも5万元(約82万円)以上かかってしまったのだ。

 羅さんは同医院の臓器移植コーディネーターから、すでに脳死状態にある付さんの臓器を、別の人の命を救うために無償提供することを勧められた。羅さんはさんざん悩んだ末、3月4日に妻の臓器を無償提供することを決断した。

 しかし付さんは病状が重かったため、多臓器不全になっていた。それでも最終的に腎臓2個を提供することができ、それによって2人の命が救われた。

 羅さんは「妻は善良で親切な人間で、人から好かれていました。臓器提供で人の役に立ち社会貢献もでき、子どもも母親を誇らしく思うはずです。もし本人が生きていたら、きっと私の決断に賛成したはず」と話す。

 長男はまだ14歳で中学2年生だが、一晩のうちに大人びたようだ。長男は「お母さんを誇りに思います。お母さんはまだ生きていて、僕たちのそばにいてくれる感じがします。僕は弟の面倒をしっかりと見ていくつもりです」と語った。

 現地の赤十字会は「今後長期にわたり羅さん一家の暮らしぶりを気に掛け、定期的に毎年訪問して一家の問題を全力で解決する」としている。(c)CNS/JCM/AFPBB News 南昌市(Nanchang)で働く