■アスリートが抱えるメンタルヘルスの問題

 ラグビー選手がプライベートな不安を公にするケースは増えている。元ウェールズ代表のガレス・トーマス(Gareth Thomas)氏は、代表を引退した2年後の2009年にタブーを破って同性愛者であることを公表した。さらには、うつ病に悩まされて一時は自殺寸前まで追い込まれていたことも告白した。

 カーワン氏は「私はガレスのことが死ぬほど大好きだ。彼はメンタルヘルスの問題を打ち明けた草分け的な存在だと思う」「彼が経験した中には、かなりつらいこともあった」と述べた。

 同様の精神的な悩みを抱えている選手は、他の人気スポーツでも存在している。先日もリオデジャネイロ五輪の自転車トラック競技女子チームパシュートで銀メダルを獲得したカトリン選手が自殺したことによって、この問題は急激に注目を集めるようになった。

 メンタルヘルスの問題に関して喚起を促すため、カーワン氏は今月行われるワールドラグビーセブンズシリーズ(World Rugby Sevens Series)の次の舞台となる香港を訪れる予定となっている。そこでは、ファンに自身の体験談を話すほか、大会スポンサーの一つである医療保険会社のシグナ(Cigna)が主催するイベント「健康に関するサミット」にも出席することになっている。

■「W杯日本大会は大いに盛り上がる」

 今年は日本でW杯(Rugby World Cup 2019)が開催されることになっており、ブレイブブロッサムズ(Brave Blossoms、日本代表の愛称)の元指揮官であるカーワン氏の訪日は大歓迎を受けると見られる。2011年のW杯で同氏が率いる日本はカナダと引き分け、16年間にわたる同大会での連敗記録に終止符を打った。

 現在はニュージーランド出身のジェイミー・ジョセフ(Jamie Joseph)氏とトニー・ブラウン(Tony Brown)氏が指揮を執る日本代表チームについて、カーワン氏は南アフリカに大番狂わせを演じるなどプールステージ3勝を記録した2015年大会より良い成績が残せると予想した。

「母国開催となった2002年のサッカーW杯日韓大会(2002 World Cup)でも、日本は普段以上の力を示すことができた」「厳しい戦いになるだろうが、実力を最大限に発揮するだろう」「日本は素晴らしい開催国になるだろうし、何が何でも大会は大いに盛り上がるはずだ」

 その一方でカーワン氏は、W杯3連覇を目指すオールブラックスと日本に対する二股の忠誠心を疑われると即座に反論し、「私には黒い血が流れている」と笑っていた。(c)AFP/Sean GLEESON