【3月7日 AFP】女優に対する性的暴行を告発された韓国の著名映画監督キム・ギドク(Kim Ki-Duk)氏(58)が先月、自らに対するセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)告発運動「#MeToo(私も)」によって「損害」を受けたとして、女性の権利団体を訴えていた。ソウルの裁判所が7日、明らかにした。

 AFPの取材に応じたソウル西部地裁の報道官によると、キム氏は2月、同国の人権団体「ウイメンリンク(Womenlink)」を相手取り、3億ウォン(約3000万円)の支払いを求める損害賠償訴訟を起こした。

 同団体が国際映画祭の主催者に対し、性的暴行疑惑を理由にキム氏の招待を取りやめるよう求めたことで、名誉が「著しく傷つけられた」としている。

 日本で今週開催されている、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭(Yubari International Fantastic Film Festival)の主催者は招待をキャンセルしたが、オープニングでのキム氏の作品の上映は予定通り行った。

 ウイメンリンク側は7日に発表した声明で、「キム氏の名誉を傷つけたのは、キム氏自身だ」と述べた。

 ベネチア国際映画祭(Venice Film Festival)の最高賞などの受賞歴があるキム氏は、2013年に発表された映画『メビウス(Moebius)』の撮影中、出演女優の顔を繰り返し平手打ちして台本になかった性行為のシーンやヌードの撮影を強要したとして、この女優から2017年に告発された。キム氏は暴行罪により罰金500万ウォン(約50万円)の略式命令を受けた。この女優はその後、降板し、別の女優がその役を演じたという。

 キム氏は、韓国の最も著名な映画監督の一人。受賞作品には、ベネチア国際映画祭のコンペティション部門最高賞「金獅子賞(Golden Lion)」を受賞した『嘆きのピエタ(Pieta)』や、ベルリン国際映画祭(Berlin International Film Festival)の最優秀監督賞「銀熊賞(Silver Bear)」を受賞した『サマリア(Samaritan Girl)』などがある。(c)AFP