■カーニバルは皆でカタルシスを得る聖なる儀式

 同じく有名なサンバチーム「ポルテーラ(Portela)」は今年の演目で、1970年代の大スター歌手で、歌手として当時初めてアフリカ系ブラジル人の宗教を公の場で擁護したクララ・ヌネス(Clara Nunes)さんへのトリビュートを行う。

 今日のブラジルには「肌の色や宗教、性的指向などを理由に差別に苦しんでいる人々がいる」と、ポルテーラの広報、ラファエル・ペルッチ(Raphael Perucci)氏は言う。「社会の空気が緊張している今、クララ・ヌネスを称賛することには非常に意義がある」

 2016年にキリスト教福音派の元牧師、マルセロ・クリベラ(Marcelo Crivella)氏がリオ市長に就任してから、サンバチームへの助成金は半分に削減された。しかも、カーニバル開幕まであと5日の時点になっても、各チームには、割り当てられた額の半分の50万レアル(約1500万円)しか支給されていなかったとペルッチ氏は言う。

 しかし、100年近い歴史を持つリオのサンバチームは、予算削減にもめげる様子を見せない。リオのカーニバルは、皆で一緒になってカタルシス(悲劇などによる感情の浄化)を得るための聖なる儀式なのだ。

 ペルッチ氏はこう話す。「私たちは不幸な出来事に耐え抜く人々に共感する。カーニバルは現実を無視することはできない。結局のところ、パレードをしているのは労働者であり、子を持つ親でもあるからだ。それでも、そういう人々が皆、年に一度の楽しみを求めている」 (c)AFP/Eugenia LOGIURATTO