【3月4日 AFP】四大大会(グランドスラム)のシングルスで通算18勝を誇る女子テニスのレジェンド、マルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏(63)は3日、女子競技への出場を望むトランスジェンダー(性別越境者)の選手をインチキだと評したことについて謝罪した。

 ナブラチロワ氏は先日、出生時の性別が女性である選手とトランスジェンダーの選手を競わせるのは「インチキで不公平だ」と新聞のコラムに書き、「トランスジェンダー嫌悪」だと批判を受けた。

 その後、スポーツ界におけるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の権利団体「アスリート・アライ(Athlete Ally)」のアンバサダーから降ろされた。

 ナブラチロワ氏は、自身のブログで「私の『インチキ』という言葉の使い方がトランスジェンダーコミュニティーの間で多くの怒りを招いているのは理解している。一般的にトランスジェンダーの選手がインチキだと述べる意図は全くなかったので申し訳なく思う」とつづった。

 謝罪した一方で、ナブラチロワ氏はトランスジェンダーの選手による女子競技への出場をめぐっては、今後も競技的だけでなく倫理的な疑問が生まれることは間違いないだろうとの見解を示した。

 しかしながら、競技の中にさらに細かくカテゴリーを設けるという解決策は、混乱につながるとも主張している。

「まず第一に、不当な扱いを受けたり、不利になったりする人をなくす完璧な解決策など存在しないということに、われわれは皆気づく必要がある。女子スポーツ界をできるだけ包括的で公平にする方策を見つけることが目的でなくてはならない」

「結局、すべての人が含まれることになれば、私たちの知る女子スポーツは存在しなくなるでしょう。それゆえ、理にかなった方策は、必ず例外を持たなくてはならない。ではそれは何か? 範囲はどこからどこまでなのだろうか?」 (c)AFP