【3月4日 CNS】ここ2年間、中国企業の「人材争奪戦」はとどまることを知らない。多くの地域が2019年以来、新たな人材政策の導入や改善案などが導入され、住宅補助金や生活手当、補助的保障などを整え、より多くの人材が現地で人材を求める企業に就職し、流動することを奨励している。

 例えば、深セン(Shenzhen)市政府は、人材を早急に企業に迎え入れる関連法案を打ち出し、18年6月から大学卒業生を中心に帰国子女、博士研究員、および配偶者の移転先住民登録など、人材の関連審査にかかる時間を大幅に短縮する措置を実施した。

 また、江蘇省(Jiangsu)鎮江市(Zhenjiang)は、大学卒業生を地方にとどまらせることを目的とする地方創生人材支援制度を実施し、年間約1万6000人の大学生人材を招き入れた。現地に就職した大学生と修士・博士など上級学位をもつ大学生に、3年間で約15万元(約246万円)、自宅購入時には20万元(約329万円)の補助手当を支給することを先月に発表したばかりだ。

 このほか、浙江省(Zhejiang)寧海県(Ninghai)、海南省(Hainan)海口市(Haikou)や陵水(Lingshui)黎族(Lizu)自治県など、各市県級の地域でも集中した人材政策案が打ち出されており、今年に入ってから人材に関連した政策を発表した都市はすでに16都市を超える。

 一般的に、経済的なサポートや社会・文化的な要素にけん引される形で、人材は経済発展地区や人口密集地区に集中する。

 しかしこの2年は、各地域の人材に対する奨励政策の効果が大きく現れている。統計によると、戸籍に関する新制度の実施から18年末までに、陝西省(Shaanxi)西安市(Xi'an)の新規居住人口は105万人を超えた。また南京(Nanjing)、合肥市(Hefei)、成都市(Chengdu)などでも平均で10万人以上増えている。

 しかしこれについて、大手不動産グループ、中原地産(Centaline Property)の張大偉(Zhang Dawei)首席アナリストは、「人材政策によって、住宅購入の制限措置のハードルが下がりすぎると、人材を誘致した後、需給構造が整っていない地方の不動産市場をより悪化させる可能性があり、将来的に住宅価格の高騰など招く恐れがある」と指摘する。

「地方都市は、人材への住宅購入制限や戸籍登録申請のハードルを下げつつ、どのようにして地方に人材を引きとどめればいいのかを考えなくてはいけない。人材政策が不動産投資の『窓口』になるリスクも注意しなくてはならない」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News