■「IS国家」の実態に失望

 女性たちは2人とも、IS支配下では穏便に暮らし、夫たちも戦闘員ではなく一般的な仕事に従事していたと述べているが、2人の証言が事実であるとの確証はまだ得られていない。

 ISは2014年にシリアとイラクの広域を制圧し、「カリフ制国家」の樹立を宣言した。だが、2人はそこでの生活の実態に次第に失望していったという。
 
「IS戦闘員は、罪のない大勢の人たちを訳もなく証拠もないまま処刑していました」と、リヨン出身の女性は語る。処刑の対象はイスラム教徒も例外ではなく、女性の夫も殺害されたという。

 しかし、その一方で2人は、2015年に仏パリで起きたイスラム過激派による風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)の本社襲撃やバタクラン(Bataclan)劇場襲撃事件に関して、ISを非難する考えはないと述べた。「あの襲撃は、フランス軍がシリアで行った空爆への報復なんです」と、リヨン出身の女性は襲撃犯を擁護した。

■「子どもたちがすべて」

 2人は、もしも自分たちがフランスに帰国して逮捕されたら、幼い息子たちは自分たちから引き離されて養護施設に入れられるか、里親の元へ送られるだろうと恐れている。

 女性は「息子たちも離れ離れにされて、私たちが望んでいた教育と反する価値観の中で育つことになるでしょう」と危惧し、「フランスには、例えば同性愛など、私たちの宗教に反することがたくさんあるから」と付け加えた。

 自分たちが訴追され裁判にかけられた場合、2人は短期刑で済むことを期待している。リヨン出身の女性は「ISという組織が犯したあらゆる罪ではなく、個々の事例として公正に裁かれることを望みます」と述べた。

 30代の女性も、子どもたちと面会できるよう、交通の便の良い刑務所での短期の禁錮刑が望ましいと語った。「子どもたちは私のすべてなんです」。女性の夫は、すでに身柄を拘束されている。(c)AFP/Emmanuel Duparcq