【2月15日 AFP】陸上女子800メートルの五輪女王キャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)は14日、国際陸上競技連盟(IAAF)が同選手について生物学上は男性に分類されるべきだと裁判で主張する見通しだと報じられたことを受け、自身は「紛れもなく女性」であると主張した。IAAFは「生物学上は男性」という部分に関しては否定している。

 28歳のセメンヤは、テストステロン値が高い女子選手の出場資格を制限するIAAFの規定についてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴している。前代未聞のケースとして注目を集めている翌週の審理を前にセメンヤの弁護団は、「セメンヤ氏は紛れもなく女性である。世界中の人々にとって、彼女はヒロインであり刺激を与える存在」「彼女は他のアスリートと同様の敬意と処遇を求めている」との発表文を出している。

 IAAFはいわゆる「高アンドロゲン」もしくは「体の性のさまざまな発達状態(性分化疾患、DSD)」のアスリートを対象に、テストステロンを基準値まで下げる規則を適用する動きに出ている。この規則は2018年11月に施行される予定だったものの、次週の審理を控えてこれまで保留状態となっている。

 2012年ロンドン五輪と2016年リオデジャネイロ五輪に加え、世界陸上選手権(IAAF World Championships in Athletics)でも2009年、2011年、そして2017年に女子800メートルを制しているセメンヤは、南アフリカ陸上連盟(ASA)の後押しを得て、IAAFの方針を公然と批判してきた。

 セメンヤは以前に、「私はただ、普通に生まれたままの状態で走りたいだけ。変更を求められるのはフェアじゃない。私が誰であるか人々が疑問を持つのは不公平」と語っている。

 セメンヤの弁護団は「彼女はじきに開かれるCASの審理で、IAAFに反論することを心待ちにしている」とすると、「彼女の遺伝子上の利点は祝福されるべきものであり、差別の対象ではない」と付け加えた。

 この他にもリオ五輪女子800メートル銀メダリストのフランシーヌ・ニヨンサバ(Francine Niyonsaba、ブルンジ)と同銅メダリストのマーガレット・ワンブイ(Margaret Wambui、ケニア)も、テストステロン値が問題視されている。

 IAAFはコメント文で、「IAAFはDSDのアスリートを男性に分類などしない」とした上で、「女子カテゴリーの競技で公平性を保つためには、DSDアスリートのテストステロン値を女子レベルに下げることが不可欠である」と主張している。

 CASの広報担当者は同日、AFPの取材に対して、審理がスイス・ローザンヌ(Lausanne)で18日から22日まで開かれ、セメンヤが出席する予定であることを明らかにした。(c)AFP