■地元の特産

 日本政府がIWC脱退を表明したことで、環境保護活動家やオーストラリア、ニュージーランド、カナダといった反捕鯨国からは非難の声が上がった。

 しかし、NHKが1月に行った世論調査では、IWC脱退を「評価する」との意見が53%となり、「評価しない」の37%を上回っている。

 日本はIWCの脱退に伴い、沿岸でミンククジラなどの商業捕鯨を行うとしているが、その一方で南極海での調査捕鯨は中止すると表明している。南極海での調査捕鯨をめぐっては、IWCの規制をかいくぐって行われているとして、一部からは「挑発的行為」とみなされてきた。

 南房総の道の駅には、巨大なシロナガスクジラの骨格のレプリカと捕鯨砲が展示され、ここが捕鯨基地であることを伝えている。ここにいた地元の70代男性は、鯨肉を町の「特産品」と誇らしげに話し、「ここじゃ鯨肉は、スーパーでも鮮魚店でもどこでも買えますよ」と付け加えた。

 だが、今回の決定にあまり関心を示していない住民もいる。取材に応じた女性(67)は、「これがマグロや他の魚なら心配だけど」と述べ、「調査捕鯨と商業捕鯨の違いすら分かんない」と笑った。「われわれ庶民から遠く離れた政治の世界のような感じ(がする)」

 政治的側面から見ると、自民党議員の多くは捕鯨に賛成の立場を示している。安倍晋三(Shinzo Abe)首相の地元も古くから捕鯨が盛んだった地域だ。