■装身具や道具

 研究チームはヒトの骨の他、首飾りとして使われていた可能性のある穴の開いた動物の歯や、骨で作った道具、ダチョウの卵の殻でできたビーズ、石を加工した腕輪などを発見した。こうした遺物はみな、かつては現生人類にのみ関連付けられていたが、最近になってネアンデルタール人との関連が指摘されている。

 遺物が見つかった洞穴の周辺には、他のホミニン(ヒト族、類人猿を除く現生種と絶滅種の人類を表す用語)の骨は存在しないため、デニソワ人が作ったとするのが「最も説得力のある説明」だと、ハイアム氏は指摘する。

「最も古い(遺物の)年代は4万9000年前にさかのぼる。ユーラシア大陸全体とまでは言えないが、ユーラシア大陸北部における、これまでに得られているこの種の活動を示す最古の証拠となる」とハイアム氏は説明する。

 研究の裏付けが得られれば、人類の祖先がどのようにして生き延び、社会化したかということに関する従来の考えが、今回の結果によって一変する可能性がある。

 デニソワ洞穴は、最近では2018年8月、ネアンデルタール人の母親とデニソワ人の父親を持つ「デニー(Denny)」が発見されたことで大きく取り上げられた。デニーは、これら初期人類の間で異種交配が行われていた初の証拠となった。

 今回の研究チームによると、デニーが現れたのは10万年前頃と考えられる。これは、ネアンデルタール人とデニソワ人が、約4万年前に絶滅するまで数万年の間、異種交配を行っていた可能性があることを意味するという。(c)AFP/Patrick GALEY