【1月31日 AFP】ブラジル南東部ブルマジニョ(Brumadinho)近くでの鉱山ダム決壊事故は30日、発生6日目を迎え、死亡が確認された人は99人に上った。行方不明者259人についても、大半が死亡したとみられている。地元では、住民らが死者や行方不明者のため祈る姿や、寄り添い生活してきた川が有害物質と汚泥で瀕死(ひんし)の状態にあることを嘆く様子が見られている。

 決壊したのは、鉄鉱石採掘世界最大手のブラジル企業バーレ(Vale)が所有する鉱滓(こうさい)ダム。28歳の妻と35歳の姉が行方不明になっている住民のエルトン(Helton)さんによると、このダムをめぐっては、事故前から非常に危険な状況にあるとのうわさが広がっていた。

 エルトンさんは、妻と姉に「(ダムでの仕事を)辞めるように言った」が、「職が必要だったから、2人は辞めないと言った」と語っている。

 鉱山に最も近い町であるブルマジニョと周辺地域では、住民の多くがバーレで働いていた。とりわけブルマジニョは実質的にバーレの企業城下町で、地域最大の雇用者である同社と関わりが深かった。

 多くの友人を失った運転手バンデルレイ・アウベス(Vanderlei Alves)さん(52)は「決壊するのは分かっていた。分かっていたんだ。働いていた連中は声を上げたがらなかった。首になるからだ」と指摘している。

 鉱滓ダムは、泥や鉱物が混ざった排出物をためるための鉱山設備。ブルマジニョのダムは25日に決壊し、1300万トンの鉱滓が鉱山の事務所を襲い、昼食をとる従業員で満員の食堂をのみ込んだ。さらに、流出した鉱滓は周辺地域やパラオペバ川(Paraopeba River)にも達した。

 死者と行方不明者の圧倒的多数をバーレの従業員や請負業者が占めている。

 環境保護団体「世界自然保護基金(WWF)」は、この事故で「サッカーのフィールド125面相当」の森林が失われたと指摘した上で、生態系への被害の全容はまだ分からないとしている。

 汚泥の毒性は明らかになっていないが、パラオペバ川下流域の住民らは生活の頼みである魚が死に、水面に浮かんでいると抗議している。(c)AFP/Rosa SULLEIRO