【1月26日 AFP】韓国の文化体育観光部は25日、同国スポーツ界を揺るがせている性的暴行や虐待スキャンダルに関して、調査チームを立ち上げると発表した。長官を務める都鍾煥(Jong-hwan Do、ト・ジョンファン)氏は、スポーツ界における「勝利主義」の精神に終止符を打つことを呼び掛けた。

 韓国スポーツ界では先日、五輪のショートトラック女子で合計2個の金メダルを獲得した沈錫希(Suk-Hee Shim、シム・ソクヒ)が、元コーチから何度も性的暴行被害を受けていたと告白したことにより、即座に別の被害者が名乗り出る事態に発展した。

 アジアのスポーツ大国である韓国は、夏季と冬季の五輪のメダル順位で常にトップ10に入っている。しかし、激しい競争社会である同国のスポーツ界では勝つことが全てとなっており、アスリートのキャリアに巨大な支配力を保持している指導者からの暴力や暴言が横行。被害者は名乗り出ることを恐れる状況に置かれていた。

 都長官は「アスリートとそのご家族、そして国民の皆さんに対し、このような虐待事件を阻止できなかったことを謝罪したい」と述べると、報道陣に対して、「この調査によって、何が何でも勝つという価値観を遠ざけなければならない」「国家の誇りという名の下に、アスリートたちを過酷な競争システムの中に押しやることは、もはやしてはならない」と語った。

 さらに長官はスポーツ、教育、そして男女平等の政府機関として、組織内で起きた性犯罪を報告しないスポーツ関係者を刑務所に入れるため、関連法案を改正する計画を立案することも明言。これとは別に、職員が学生アスリートに性的嫌がらせを行っていたとされる韓国体育大学(Korea National Sport University)に対する、第三者機関の調査も立ち上げることについても明らかにした。(c)AFP