【1月23日 AFP】米国家情報長官室(ODNI)は22日、今後の米情報活動の指針となる「国家情報戦略(National Intelligence Strategy)」の最新版を公表した。中国の急速な技術の進歩が米国にとって最重要課題の一つだと指摘している。

 匿名のODNIの高官は同日報道陣に対し、中国は過去の米国よりはるかに短期間で技術を進歩させており、米中の技術力の差は急速に縮まっていると指摘。中国は数万人規模の留学生や研究者を米国に送り込んだ成果を得ていると同時に、買収や窃盗によって米国の技術を獲得するという揺るぎない方針によって「期間を圧縮」し、「注目すべき」能力を持つに至ったと語った。

 新しい国家情報戦略の公表に際し米情報機関関係者を前に演説したダン・コーツ(Dan Coats)国家情報長官は、「今日われわれはこれまでになかったような多様で複雑な脅威に直面している」「問題は今何をするべきかだ…われわれはもっと機敏にならなければならない」と述べた。

 前回2014年に国家情報戦略が発表された頃は、サイバー攻撃や経済・金融セキュリティー、選挙のセキュリティーへの脅威は付け足しのようなものだったが、5年を経て発表された最新版は、第2次世界大戦(World War II)の国際秩序の弱体化と軍事・経済面での中国の台頭により状況が変化したことや、サイバー空間における脅威が高まったことなどを指摘している。

 コーツ長官は中国、イラン、北朝鮮、ロシアが米国を脅かす国家だと述べた一方、イスラム過激派や犯罪組織などが新しい技術によって力を増し、これらの勢力が共通の利益を追求することもあり得ると指摘。「われわれの最も大きな懸念は、複数の勢力が統合することだ」と述べた。(c)AFP