【1月29日 東方新報】中国・甘粛省(Gansu)蘭州市(Lanzhou)で今月16日、自殺を図ろうとした大学院生が、タクシー運転手に救われたことがメディアで報じられ、運転手の善意の行動が大きな反響を呼んだ。大学院生がタクシーから降りる時に、代金の代わりにとスマホを差し出された運転手が異変を感じ取り、警察に通報したことで学生の命を救ったのだ。運転手は、「やるべきことをやっただけです」と淡々とコメントした。

 多くの読者はこのニュースを聞き、命を救った人間らしい心遣いに拍手するだろう。近年、大学生が精神的な理由で自殺をしたというニュースがメディアで報道されることが少なくない。「今どきの若い者は心が弱すぎる」とため息をつく人がいるが、現代社会において心の悩みを抱えている人は少数ではない。道徳的な見地から責任を問うよりも、体制や仕組みの面から、どうしたら学生の自殺を未然に防ぐことができるかを考え直したほうが良いのではないか。

 問題は、学生の心の健康を管理する上で制度的な弱点があることだ。心理カウンセラーを配置しても、人数が足らなかったり知見が十分でなかったりなど、医学の講義はできても患者の治療はできない医者のようなもので、通り一遍の精神状態のチェックはできても、真に必要がある学生が訪ねてくると、力になれないのだ。