■何も買わない、何も売らない

 こま、操り人形、布巾で作った耳がパタパタ動くウサギ、紙で折ったカエル──コリーノさんの魔法によって、雑貨やがらくたが魅力的なおもちゃに生まれ変わる。おもちゃにはそれぞれ、イタリア語や故郷の方言ピエモンテ語によるおとぎ話も付いている。

 コリーノさんの洞窟の中のものは買うことはできないし、売ってもいない。コリーノさんのおもちゃは、今の子どもたちがクリスマスにサンタクロースにお願いするような最新のゲーム機器やデジタル玩具とは全く異なる。必要なのはペンナイフと設計図、それから傘の柄からばねまでごみとして捨てられていたがらくたや、滑車やワイヤブラシがあれば、目抜き通りにある大型店に売られているおもちゃにも負けないコレクションを作ることができる。

 コリーノさんは観客に無料でパフォーマンスを披露しているが、代わりに参加するフェスティバルや催しの主催者から謝礼が出る。しばしば国境を越えてフランスへも出張する。独創的なおもちゃ作りが評価され、トリノ工科大学(Turin Polytechnic University)で建築家志望の学生向けにセミナーをしたこともある。

 信心深いコリーノさんは時々、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂(Cathedral of Santiago de Compostela)に出掛けるのが習わしだ。自分の中の内なる子どもを育てることが、キリスト教徒としての自らの義務だとコリーノさんは考えている。「神は、幼子(おさなご)のようにならなければ、天国へ行くことはできないと言った。私はこれをその通りに受け取って、今でも遊び続けているんだ!」 (c)AFP/ Claudine RENAUD