【12月23日 CNS】パンダというと、ほとんどの人は「おとなしくてかわいい」イメージを思い浮かべるに違いない。彼らの生活の実態はどうなのだろうか?

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 北京動物園(Beijing Zoo)でパンダの習性に最も詳しい人は、飼育員の馬濤(Ma Tao)さんだ。馬さんは動物園で29年間、大部分の時間をパンダと共に過ごしてきた。パンダの育ての親と言えるだろう。

 馬さんは毎朝午前8時前には仕事場に入る。仕事道具を持って獣舎内に入り、バシャバシャと水を流し、ゴシゴシやり始める。獣舎の掃除で1日が始まる。

 清掃の後は、餌の準備だ。食べることと眠ることがパンダの生活の基本だ。午前8時に1食、午前10時に1食、お昼寝の後、不定時に1食、さらに退勤の前にパンダ用の夜食を準備するという。

 飲食を制限しても、パンダが1日に食べる量は驚くほど多い。馬さんによると、1頭のパンダに与える主食の竹は30〜40キロ。食べ残す部分を除くと実際に食べる量は1日に10から15キログラムはある。パンダの胃袋は「超」の字が付くほど大きいのだ。

 主食の竹だけではない。竹の後には、パンダ用のデザートが待っている。リンゴ、牛肉、卵のほか、パンダ専用に作られたまんじゅうなども準備する。ニンジンなどは、ちゃんと葉の部分など処理され食卓に上る。

 現在、北京動物園が飼育するパンダは17頭で、四川省(Sichuan)に派遣され繁殖に励んでいる適齢パンダを除くと、北京には8頭が残っている。注目すべきは、ここのパンダは1頭ごとに専用の食事メニューが決まっていることだ。

 細心の配慮と世話のおかげで、北京動物園のパンダはみなまるまると太っている。1992年に生まれた「大地(Da Di)」は同園の最長老だ。年は取っているが、「大地」の歯はそろっており、食欲も旺盛だ。

 毎日の清掃と餌やり以外に、特別な仕事がある。例えば、採血をする時には、麻酔をしない状態で行われるが、飼育員は採血の間にパンダがおとなしく手を差し出すように訓練しなければならない。

 馬さんは、19歳からこの仕事を始めて29年。馬さんは「飼育員たるもの、汚れ仕事や疲れる仕事、辛い仕事を進んでやるのが当たり前だ。パンダに対する時は、大胆かつ細心に相手をしなければならない。パンダは凶暴な動物でもあるので」と言う。

 パンダは、1歳の頃から飼育員の手を離れ、成年パンダとしての対応となる。理由は、この年齢になるとパンダに一定の危険性が現れるからだ。

 馬さんは「29年間にパンダと一緒に過ごした時間は、自分の家族と過ごした時間より長い。パンダも自分を最も親しいパートナーとし見てくれている。自分が動物飼育員の仕事を選んだことは幸運だった。パンダから父親として見られていることも最高の幸せだ」と話す。(c)CNS/JCM/AFPBB News