【12月4日 AFP】サッカー元アルゼンチン代表のレジェンドで、現在はメキシコリーグ2部のドラドス・シナロア(Dorados de Sinaloa)を率いるディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)監督は、2日に行われた前期のリーグ優勝決定戦の試合後、やじを飛ばしてきた対戦相手のファンに飛び掛かろうとして警備員に制止される場面があった。

 マラドーナ監督が指揮を執るドラドスは、アトレティコ・サンルイス(Atletico San Luis)との決勝第2戦で延長戦の末に敗れ、2戦合計3-4でタイトル獲得を逃したばかりか、1部昇格のチャンスをふいにした。試合が終わって同指揮官がスタジアムを後にしようとしていた際には、サンルイスのサポーターが「ざまあみろ、マラドーナ!」とやじを飛ばしていた。

 インターネット上に投稿された動画では、マラドーナ監督が警備員に制止されながらファンに向かって飛び掛かろうとしている姿や、「このくそ野郎、俺の目の前で言ってみろ!」と暴言を吐いている様子が確認された。警備員はエレベーターまで同監督を誘導した後、スタジアムの外に連れ出した。

 58歳のマラドーナ監督は、1-0で勝利した第1戦の終了間際にチームにPKが与えられるべきだったと主張し、審判に暴言を浴びせて退席を命じられ、この試合はスタンドから見守ることを余儀なくされていた。

 1986年のW杯メキシコ大会(1986 World Cup)の優勝メンバーであるマラドーナ監督は、9月に当時リーグで15チーム中13位と低迷していたドラドスを率いることを発表して周囲を驚かせた。薬物やアルコール依存症と闘っていたことで知られる同監督がメキシコに行くメリットについては、クラブの拠点がサッカーよりも麻薬カルテルの拠点として広く知られているからとする懐疑的な声も上がっていた。

 しかし、マラドーナ監督は見事な勝利を積み重ね、不可能と思われていた優勝決定戦にチームを導き、1部昇格まであと一歩に迫る手腕で批判の声に応えてみせた。(c)AFP