【11月23日 AFP】韓国で23日、元大統領夫人だと身元を偽って政治家から4億5000万ウォン(約4500万円)を詐取したとして、女が逮捕された。

 容疑者の女は、故盧武鉉(ノ・ムヒョン、Roh Moo-Hyun)元大統領の妻、権良淑(クォン・ヤンスク、Kwon Yang-Sook)夫人の名をかたり、娘のために金が必要だと主張。すぐに返済すると約束し、光州(Gwangju)市の尹壮鉉(ユン・ジャンヒョン、Yoon Jang-hyun)市長(当時)から4億5000万ウォンをだまし取ったとされる。

 尹氏は、盧元大統領や文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領と同じ「共に民主党(DP)」に所属。詐欺に遭った当時は光州市長の2期目を目指し、市長選で党の公認を得ようとしていた。

 聯合(Yonhap)ニュースによると、容疑者の女は昨年12月、権夫人の名をかたって光州市の著名人10人ほどにメールを送ったが、金を支払ったのは尹氏だけだったという。

 結局、尹氏は党の公認候補にはなれず、政界を去った。

 韓国政界には汚職疑惑がはびこっており、李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)元大統領と朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)前大統領も、汚職などの容疑で逮捕・収監されている。盧元大統領も2009年、権夫人を巻き込む汚職疑惑で検察の事情聴取を受けた後、岩場から飛び降りて自殺している。

 韓国では今週、文大統領の裏金作りを担当する側近の関係者を名乗って5億5000万ウォン(約5500万円)をだまし取った男(65)が逮捕されたばかり。

 これに先立ち、盧元大統領の片腕だった文大統領は先月、「大統領の親族や青瓦台(韓国大統領府、Blue House)の職員を名乗る人物が金の無心に来たら、全員を詐欺師とみなして当局にすぐ通報を」と述べ、国民に注意を呼び掛けていた。(c)AFP